脊柱管狭窄症とは?原因・治療方法まで網羅的に解説!

脊柱管狭窄症とは、脊柱管内の神経組織への圧迫によって引き起こされる疾患です。脊柱管狭窄症は50歳を過ぎた頃から増加し、60~70代の男女に多く見られます。高齢者の10人に1人が腰部脊柱管狭窄症と診断され、患者数は500万人以上と推定されています。それでは、この病気の症状・原因・治療法はどのようなものがあるのでしょうか。そこで本記事では、脊柱管狭窄症の症状・予防・治療法などをくわしく解説します。また、類似した病気にも記事内で触れています。将来、脊柱管狭窄症に不安を感じる方には参考になる情報が満載です。ぜひ、最後まで記事を読んでみてください。

脊柱管狭窄症とは?

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、脊柱管内の神経組織への圧迫により起こる疾患です。仕事による体力的負担や加齢によって、脊柱が変形することで脊柱管が狭くなります。これにより、神経が圧迫され血流が悪くなることで、腰や足に痛みや痺れが顕現します。日本における脊柱管狭窄症の患者数は、500万人以上と推定されています。こちらは、多くの方々に影響を与えている疾患です。50歳を過ぎたあたりから増加し、60~70代の男女に多く発症します。現在、高齢者の10人に1人が発症者といわれています。脊柱管狭窄症の主な症状は、腰や足の痛みやしびれです。脊柱管内の神経組織への圧迫により、神経が圧迫され血流が悪くなるからです。そして、重症になると歩行困難になるケースもあります。

脊柱管狭窄症の原因

脊柱管狭窄症は、腰を使った作業負荷・肥満・加齢による腰椎への負担増加が主な原因です。腰を使った重労働や長時間の姿勢保持によって負荷が腰椎にかかり、徐々に変形が進みます。さらに、骨粗鬆症や圧迫骨折による骨の変形も脊柱管狭窄症の原因です。最後に、日常生活要因もこの疾病に大きな影響を与えるといわれています。喫煙は血液循環を悪化させ、神経組織への血流を減少させます。糖尿病は神経の機能低下を引き起こすため、症状を悪化させる可能性があるでしょう。また、ストレスも筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こし、脊柱管狭窄症のリスクを高めます。脊柱狭窄症に似た疾患はあるのでしょうか。ここでは、類似した病気を3つ紹介します。

椎間板ヘルニアは、脊柱管狭窄症に類似した疾患です。椎間板は脊柱の間にあるクッションのような組織であり、ヘルニアはその組織が圧迫されて痛みが生じます。この状態になると、神経組織に圧力がかかり、腰や足の痛みやしびれが出てきます。椎間板ヘルニアは脊柱管狭窄症と同様に治療が必要であり、手術・投薬・注射などが一般的な治療法です。脊柱管狭窄症と糖尿病性神経障害は、症状や治療法で類似しています。糖尿病により神経の機能が低下し、腰や足の痛みやしびれが現れます。この病気は血糖のコントロールが重要で、日常の食生活・運動・禁煙・節酒など、生活習慣の改善が大切です。すべり症は背骨や椎間板の変形によって、背骨がずれる病気です。すべり症は2つの種類があり、加齢による椎間板の変化による「すべり症」と、もう1つは幼少期の骨折などが要因となった「すべり症」です。こちらも、脊柱狭窄症と同じく腰や足のしびれや痛みが生じます。

脊柱管狭窄症の予防

脊柱管狭窄症

高齢者が発症しやすい脊柱管狭窄症は、どのように予防すれば良いのでしょうか。ここでは、主な予防法を解説します。荷物を持つ際は腰に負担がかかります。腰だけを曲げて荷物を持ち上げると腰への負担が大きくなります。必ず、ひざを曲げて腰を低くして持ち上げるようにしましょう。これにより、腰への負担が分散されます。また、デスクワークの場合、長時間椅子に座り続けるため、椎間板に負担がかかります。1時間に1度は立ち上がり、歩くなどの小休憩を取ることが重要です。脊柱管狭窄症の予防には、バランスの取れた食生活が重要です。なぜなら、骨を強くするには、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKの摂取が必要不可欠だからです。

カルシウムは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品・魚・大豆製品に含まれています。カルシウムは骨の形成に不可欠な栄養素であり、骨密度の維持には重要です。次にビタミンDは、魚や干ししいたけなどに含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨の健康に欠かせません。最後にビタミンKは、キムチや納豆などの発酵食品に多く含まれています。ビタミンKは骨形成を促進し、骨の健康をサポートします。これらの栄養素をバランスよく摂取すれば、骨の強化につながり、脊柱管狭窄症の予防に役立つでしょう。脊柱管狭窄症を予防するには、定期的な検査が重要です。定期的な検査によって、早期に病気の兆候を発見できます。一般的な検査方法としては、レントゲン検査・MRI検査です。レントゲン検査は、背骨のバランス・骨の変形・異常な変化がないかを確認します。MRI検査は、脊柱の詳細な画像を確認するために実施されます。脊柱管や神経組織の状態を調べるために有用です。このように、定期的な診察や検査の実施は、健康な脊柱を維持するために欠かせない予防策といえます。

脊柱管狭窄症の治療

もしも、脊柱管狭窄症になってしまった場合、どのような治療法があるのでしょうか。次項から具体的な治療法を解説します。手術は、脊柱管狭窄症の治療法のひとつです。手術の目的は、神経圧迫を軽減し、症状の改善を図ることです。一般的な手術は「片側侵入両側除圧術」と呼ばれる術式です。左右のどちらかを小さく開窓し、脊柱管を広げる手術法で、神経への圧迫を軽減し、症状の改善が期待できます。しかし、手術にはリスクや合併症も存在するため、十分な検討と医師との相談が必要です。脊柱管狭窄症と診断された場合、手術や注射ではなく、投薬治療を選択する方が多くいます。投薬治療は、神経痛の症状を軽減するために鎮痛剤や抗炎症薬が使用されます。具体的には「プロスタグランジンE1」と呼ばれる薬で、神経系の痛みであれば、3か月程度で改善が見込めるでしょう。しかし、投薬の効果については個人差があるため、効き目が保証されるわけではありません。脊柱管狭窄症の治療法にブロック注射があります。この治療法は、痛みを引き起こしている神経付近に麻酔を注入し、痛みや炎症を抑える効果が見込めます。ブロック注射は、仙骨ブロック・硬膜外ブロック・仙腸関節ブロ ックなど、複数の種類があり、症状によって使用する注射が異なります。したがって、専門医の指導のもと、適切な治療法の選択が大切です。

まとめ

脊柱管狭窄症

本記事では、脊柱管狭窄症の症状をはじめ、予防や治療法についてわかりやすく紹介しました。脊柱管狭窄症は高齢者によく見られる疾患であり、10人に1人が発症している身近な病気です。腰や足の痛みやしびれが主な症状で、重症になると歩行困難など日常生活に支障をきたしてしまうかも知れません。しかし、現在では脊柱管狭窄症の治療法が多様化しています。保守的治療から手術治療まで、自分に最適な治療方法の選択が可能です。保守的治療では薬物療法や注射などによって、症状の緩和や進行の防止を目指します。一方、手術治療では脊柱管を広げ、圧迫解消の手術が実施されます。現在、脊柱管狭窄症でお悩みの方は、こちらの記事の内容を参考に専門医の指導のもとで治療を進めてください。